はじめに
「三振」といえば野球用語ですが、野球に詳しくない人でも聞いたことがないという方はいないのではないでしょうか。
「三振」とは打者が投手に3つ目のストライクを取られることを言いますが、投手から見れば理想的なアウトの取り方のひとつになります(一番の理想は一球でアウトを取ることと言われたりもしますが)。
やはり投手の能力を見るさいに、必ず注目されるポイントになるのも事実です。三振を多くを取る投手のことを、「奪三振王」や「ドクターK」などといったりもしますね。
古くは「金田正一」、「江夏豊」、「野茂英雄」など、最近ではソフトバンク「千賀」、オリックス「山本」などの名前が上がるかと思います。
また三振が多い打者といえば「清原和博」、「中村剛也」など、いわゆる長距離砲が多いイメージがあります。
ところでそんな「三振」ですが、記録として付ける時には「K」と表記されます。一試合で三振を15個奪った場合は「15K」といった具合ですね。
「Strike」の「S」なら話は簡単ですが、なぜ「K」なのでしょう。今回は
について解説していきます。野球をやっている人でも意外と知らない「三振のK」について調べてみました。
三振が「K」となった意味や由来
まず結論から言って、三振を「K」と表すようになった意味や由来は現在のところ、明確にこれといったものが見つかっていません。
野球の試合の記録は、スコアブックというものに記入されます。
このスコアブックの記入方式は1861年にアメリカの「ヘンリー・チャドウィック」という人物によって定められたということです。
でもなぜ三振のことを「K」と表記することにしたのかまでは、分からないのだそうです。
しかし説として説得力のある有力なものからそうでないものまで、様々あります。その中から5つご紹介したいと思います。
- strike outから「K」を取った説
- 「K」が3画だから説
- knock outの「K」説
- killの「K」説
- 偶然説
この5つです。ひとつずつ解説していきますね。
strike outから「K」を取った説
野球の発祥の地アメリカで三振のことを英語で「strike out」といいますが、この「strike」の「K」を取って使ったという説です。
ここでもちろんこんな疑問が浮かびますよね。
もっともなこの疑問は、他の野球用語との兼ね合いがあります。実は野球用語には「S」から始まる用語が他にもあるんです。
例えば
- steal:盗塁
- sacrifice:犠打
- save:セーブ
などです。これらと混同されないように「K」を使うようになったという説です。
と思う方もいるだろうということで、調べてみましたよ。
「T」で始まる野球用語
- total bases:塁打数
- total chances:守備機会数
- triple play:三重殺
「R」で始まる野球用語
- runs:投手の失点
- run scored:打者の得点
- runs batted in:打点数
「I」で始まる野球用語
- intentional walks:敬遠数
- infielder:内野手
- inning pitched:投球回数
「E」で始まる野球用語
- errors:失策数
- earned runs:自責点数
- earned run average:防御率
などがあります。一方「K」で始まる野球用語は、三振に関する用語しかないので一定の説得力はあるような気がしますね。
「K」が3画だから説
これはもうそのままの意味です。ストライクの数を3つ数えるのに「K」が3画で使い易かったので、そのまま三振を表すのに「K」が使われるようになったという説です。
日本でいう「正」で5つ数える考え方に、似ていますね。
knock outの「K」説
ボクシングなどで相手を倒すことをknock out(ノックアウト)といいますが、三振で打者を倒してアウトを奪うところから頭文字の「K」を使うようになったという説です。
野球用語にわざわざ格闘技の用語を持ってくるかな?という疑問はあるような気がしますね。
killの「K」説
2アウト→二死のように、アウトのことを日本語で「死」と表現することがよくあります。
ちょっと物騒な表現ですが、この「死」=killから頭文字の「K」を使うようになったという説です。
偶然説
ただアウトになる条件を並べていって、それにアルファベットを一文字ずつ当てていったら、たまたま三振が「K」になったという説です。
プロ野球の三振の思い出
プロ野球で三振といって思い出すのは、私の場合1984年のオールスター戦での「江川卓の8連続奪三振です」。
当時小学生で野球大好きっ子だった私は、江川の快投に衝撃を受けました。それ以前1971年のオールスター戦で「江夏豊の9連続三振」という出来事もありましたが、まだ生まれていなかったので印象に残っているのは、江川の方ですね。
巨人ファンではないのですが、最後のバッター大石大二郎との対決の時は、江川の奪三振を期待したものでした。結果はセカンドゴロ、すごく残念に思ったことを覚えています。
しかしこの話には裏話があって、江川は10連続三振を狙っていたという話がありますね。
オールスター戦というのは一人の投手は3イニングまでしか投げられないルールなので、普通に行けば最大9連続三振で交代しなければなりません。
ところが振り逃げが適用されると三振はカウントされるけど、アウトにはカウントされないルールがあるんです。
振り逃げとは、打者が三振した際に捕手がボールを逸らすなど正常に捕球できなかった場合に、打者が一塁に走る権利があるというルールです。
この場合、打者が一塁に達するまでにボールを持って打者にタッチするか、一塁に送球することでアウトが成立します。
打者の方が早かった場合は、奪三振としてカウントされますがアウトにはなりません。
この方法を利用して江川は捕手が取れないように、わざとサイン違いのカーブを投げて三振を奪い振り逃げさせることによって、次の10人目の打者からも三振を奪おうとしたということです。
オールスターならではの発想で実現していたら江夏を超える大記録だったのですが、カーブが甘く入ってバットに当てられてしまったのだとか。なんとも規格外の投手でしたね。
ちなみにこの振り逃げですが、スコアブックに付ける時には「K」を左右反転させて記入されることが多いんです。
三振にはカウントされるけど、アウトにはカウントされない特殊で珍しいプレーならではの記入方なのではないでしょうか。
9回裏の「X」
おまけにもうひとつ、野球雑学をご紹介しますね。
9回表の攻撃が終わって後攻のチームがリードしている場合、スコアボードの9回裏のところに「X」と記入されます。
この「X」の意味は勝敗が決しているのでプレーはしないけど、もしプレーしていれば何点入ったか分からないということで未知という意味の「X」が表記されるようになったんです。
さらに、日本に野球が伝わった初期の頃は「X」ではなく「A」が使われていたんだとか。
その理由は「X」を筆記体で書くと「α」に似ているため、当時のプレーヤーが勘違いして「A」が使われるようになったんだとか。
冗談のような、ほのぼのエピソードですよね。
さいごに
さいごは少し話がそれましたが、三振が「K」と表記されるようになったのには、諸説あることがお分かりいただけたかと思います。
実際どの説が正しいのかは誰にもわかりませんので、どの説を信じるかはあなた次第です!
最後まで読んでいただきありがとうございました。