はじめに
街を歩いていたり、車の運転をしていると「福」の字が逆さまになった看板を見かけることがありますよね。
そのほとんどが中華料理屋さんですよね。ということは、中国の何か意味があるものなんだろうなという気がします。
実際のところはどうなのでしょうか。
福を逆さまって、あまり縁起が良くないようにも思えるのですが、ホントはどうなんでしょうか。
逆さまの「福」の意味
「福」を逆さまにすることで、どんな意味が込められているのでしょうか。分かりやすく解説していきますね。
読み方
まず逆さまの「福」の呼び方ですが、日本では逆さ福や倒福と呼ばれています。
これはやはり中国の風習が伝わってきたもので、旧暦の正月(春節)に「福」が描かれた飾りをいろんなところに飾ります。
これはもちろん、新年も「福」がもたらされるようにという願いが込められていて、この風習が伝わってきたものです。
なぜ逆さまになったのか
ではなぜ、「福」を逆さまにするようになったのでしょうか。これは実は中国語の発音が関係しています。
中国語でやってくるという意味の「到」と、逆さまにするという意味の「倒」は発音が同じなのです。
つまり「到福」=「福がやってくる」と、「倒福」=「福を逆さまにする」が中国語では同じ発音になるんですね。
ということでわざわざ「福」を逆さまにすることによって、福が来るようにという願いを表すちょっとした言葉遊びのようなものだったんです。
そうしてお正月の縁起物とて、福が来るようにという意味で「福」を逆さまに描くようになったんですね。
逆さまの「福」の由来
「福」を逆さまにする意味はお分かりいただけたかと思いますが、元々の由来はどういった事なのかを見ていきます。
諸説あるようですが、共通しているのは当時の身分の高い人(皇帝など)が庶民に「福」という字を貼るように命じたときに、字が分からない庶民が間違って「福」を逆さまに貼ってしまうということです。
バカにされたと思った身分の高い人が間違った庶民を罰しようとすると、機転の利いた人が、「それはわざと福を逆さまにしたことで、福が来るように願っている」という説明をして、納得させたというようなことです。
この機転の利く人が皇帝の奥さんの皇后だったり、使用人だったり、宦官だったりするようです。
本場中国では
逆さ福・倒福の本場と言ってもいい中国では、実は料理屋などで「福」を逆さまにしていることはあまりないようです。
というのも逆さ福・倒福はお正月の縁起物で、普段は普通の「福」を飾っているんだとか。
日本の中華料理屋でよく見かける逆さまの「福」は、日本独特のものと言っていいのかもしれませんね。
なんかいかにも日本人らしいな、という気がしませんか?
その他の縁起物
「倒福」以外にも中華料理店で見かけることが多い、縁起物の漢字や絵があります。
- 双喜紋
- コウモリ
- 招財進寶
などがそれです。
双喜紋(そうきもん)
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双喜紋とは読んで字のごとく「喜」という文字をふたつ並べて、デザインされたものです。
中国では縁起物として、結婚式や春節などで使われることが多いようです。
日本ではラーメンどんぶりに、描かれているものをよく目にしますよね。
コウモリ
日本人にとってはとても縁起がいいとは思えないコウモリが、中国人にとっては意外にも縁起物なんだとか。
これにもやはり漢字が関係しているんです。
というのもコウモリを漢字で書くと「蝙蝠」となりますが、これが「福が広く(遍く)寄ってくる」という意味の「遍福」と同じ発音なんですね。
これが理由で中国で、コウモリは縁起物になっているんだとか。
招財進寶
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これは日本語にはなく、あえて日本語読みすれば「しょうざいしんぽう」と読みます。
中国では「どんどん儲かる」という意味で使われます。
またこの漢字四文字をひとつにした、漢字のようなデザインが使われていることがあります。
これを「合字」といい、これもまた言葉遊びのひとつになります。
さいごに
今回は逆さまの「福」について調べてみました。正直、私が最初に思っていたのは「福(ふく)」を逆さまにすると「くふ」になることから、「食う」と引っかけているのかなと思っていました。
全くかすりもしない仮説で、我ながらびっくりしました(笑)
あなたの予想はどうでしたか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。